岩泉線「鉄道記念の日」号秘境駅巡りの旅


10月14日(日)


盛岡→茂市→岩泉→茂市→盛岡→大宮→高崎→家



  快晴でご機嫌な朝の盛岡駅                今日の為だけに作られた物            長い行列を予想していたが・・・ラッキー  

 朝日がまぶしくとても気持ちの良い朝。ホテルから盛岡駅まで向かう道も気分が良い。今回乗車予定でこの旅メイン、目的の「快速鉄道の日記念号」への乗車だ!2両編成で1両は座席指定。岩泉までの往復の着席は必須であろうと考え、何度も指定を取ろうと試みたがその少ない座席指定をゲットする事は出来なかった。なので、30分以上前にホームへ到着し、自由席の車両で何とか着席を確保しようと気合いを入れて盛岡駅へとやって来た。その指定席の状況からしてかなりの混雑を予想していたが、ホームへ到着してみると意外にも7〜8人しか並んでいないではないか(^_^)



  
表示が出た                              列車入線                  盛岡駅長がいたので捕獲した

 ホームで乗車待ちの列に並ぶと鉄道ファンと思われる親子が後ろに並ぶ。そのちびっ子が随分レアな、ライカか!?と思われるカメラを首からぶら下げている。隣のホームにブルートレインが入線してくる。するとその子供が「今日の停車は上手だね」などど言い放つ。なんてマニアな親子なんだ。どこがどう上手なのか見ていた私にはさっぱり解らなかった。そして、目的の「快速鉄道の日記念号」が入線してくる。迅速に座席を確保。ボックスシート着席に成功する。荷物を置き早速写真撮影決行。列車を撮影していると、なにやらJR東の制服を着たおじさんの集団が現れた。ネームプレートを確認してみるとなんと盛岡駅長ではないか!どうやらこの臨時列車の盛況ぶりを見に来たらしい。素早く接触し「列車と一緒に写真撮らせてもらって良いですか?」快諾頂き一枚撮らせて頂きました。やさしくて良い感じの駅長さんでした。



         
区界駅8:38着発              広い構内を有する区界駅           区界→松草駅間は結構直線 

 列車は定刻通り盛岡駅を出発。すぐに東北本線より分岐し山田線へと進んでいく。快速列車なので停車はしないが上盛岡駅あたりまではマンションなども建ち並び大都市近郊住宅地の様相を呈しているが次の山岸駅を通過すると雰囲気はガラッと変わる。山肌が迫り川が迫ってきてその間を寄り添うように右に左に鉄道と道路が縫っている。人口30万人、北東北の中核都市盛岡市から10kmと離れていないのにこの雰囲気。さすが山田線、素晴らしい。渓流を流れる水は透明でとても美しい。大きくS字を描いて登坂して行き秘境駅、大志田、浅岸を通過していく。これらの駅は復路での同列車が停車するので、見学はその時の楽しみである。区界駅という、あまりにもわかりやすい駅を通過すると峠越えは一段落。線形も落ち着き列車はスピードを上げる。



  川内駅通過(地味なレールスターを発見した)     右へ左へ山間部を縫いながら進む        岩泉線起点の茂市駅9:36着

 松草駅までは平坦地だがそこを過ぎると今度は下りの連続。コーナー、鉄橋、トンネル。これの繰り返しが延々と茂市駅まで続く。たまに開けた集落近くの田畑には、所々に数人ずつかたまり、巨大なレンズを装着した一眼をのぞき込みながらこの貴重な列車を撮影している。最初はお友達同士で来ているのかと思っていたが、その付近にそれぞれ車が停まっている。お友達なら一緒に来るはずである。彼等は多分、同じ撮り鉄という趣味を持った他人同士だろう。何回もその光景を見ているうちに一定の法則があることに気付いた。彼等のスイートスポットは見通しの良い田畑などで、線路コーナー外側に集中している。私はその筋では素人なので勉強になった。



 
盛岡行き快速リアスと交換              茂市駅構内手動ポイント箇所を通過する     宮古方面より快速リアスでやって来た人々

 茂市駅に到着するとここから岩泉線に入る。進行方向が逆になるため一旦停車した後、列車はホームの入れ替えを行う。その際、保線員がポイントを手動で動かしているのはびっくりした。再度列車がホームを入れ替え停車した後、座席へむかうと席を取られているではないか。写真撮影の為、一旦停車時に降車したすきにおばちゃん2人組に占領されてしまった。今回乗車している「快速鉄道の日記念号」は本日10月14日が「鉄道の日」なのでそれに合わせて運転される臨時列車である。ちなみに、鉄道の日とは察しの良い人なら解ると思うが、1872年に新橋→横浜間を結んだ日本初の鉄道が開業した日である。最近の秘境駅ブームでそのランキング上位に入る駅が山田、岩泉線にある為、「快速秘境駅号」なる臨時列車もある。今回もほぼそれと同じ性格の列車である。その為、秘境駅マニアには手軽にそれを楽しめるとあってもってこいの列車である。おいしそうな駅には数分間の駅見学停車があるのであーるo(*^^*)o
 

 
左が山田線盛岡方面、右が岩泉線岩泉方面        小さな茂市駅舎                横断幕でこの列車を歓迎する地元観光協会

 宮古からやってきた「快速リアス」が、この列車が到着するとすぐに盛岡方面へ向かって行ったので、おばちゃん2人組はそこからの乗り換え客と思われる。まあ、自由席だからしょうがないけど。地元の観光協会が横断幕や地元のパンフレットなどを配り観光PRに励んでいる。この臨時列車への地元の期待ぶりが伺える。地元TV局のカメラも取材に入っていた。茂市駅発9:58



  茂市駅構内岩泉線0キロポスト        1両しかない指定席車両はゲットならず   岩手和井内駅着10:09、10:12発

 岩泉線に入ってもこれといって風景が変わるわけではないが、茂市駅周辺はそれなりに人家があり一つの集落が形成されている。岩手和井内駅での見学停車で下車してみると、地元の女子高生放送部が活動している。車内ではJR東・盛岡支社・企画広報部が記念乗車券を配りだした。これは、鉄にはたまらないであろう。そして、岩泉線に入ってから車内探索を行うと初めての音の「録り鉄」を発見!一人はあからさまにマイクを天井にある車内スピーカーに向けて、車掌アナウンスを録っている。もう一人は小さなマイクに白いハンカチみたいのをまいてひたすら車内音を録っている。人それぞれ趣味は違うから問題はないが、とてもディープな世界である事は間違いないと思った。まあ、いずれ自分の趣向もその方向へ変わる可能性もゼロでは無いわけだからあまりの事を言うのはやめよう。それにしても、異様な感じがした。



  
秘境駅押角到着(。>0<。) 10:20        線路脇に30‰の勾配標表示が出た         みんなこのアングルで撮っていた  

 しばらくして、岩泉線いちの秘境駅、全国ランクでも4位の押角に到着する。ここは非常に萌える。列車が到着すると一斉にカメラを持った鉄道ファンが降車し、列車前面の線路上から駅と列車の撮影に入る。その気迫に押されながらとりあえず自分も同じ事をしてみた。この駅、昔はZ型スイッチバックという貴重な構造をしていたが、いまでは、線路も撤去され、その存在はかすかに残る廃線跡からしか伺えない。帰ってきて気付いたのだが、駅ホームの対面山側にその時代のスイッチバック加速線があったらしいのだがそれを見逃したのが悔やまれる。5分という短い停車時間で10:25発



鉄道ファンにとってはある意味聖地           駅舎らしくない岩泉駅              しっかしこの駅はどこにもJRの文字が無い

 途中、浅内駅にも停車があり目的地、岩泉駅10:53着。ついにやってきた。計画を練る事数日間。今回の臨時列車が無ければこの短期間で、到底到達出来ないこの場所に、ついにやってきた(。>0<。)あー感激(--,)なんて言いつつせっかく来たので本日龍泉洞まで無料送迎バスが出ているという事なので、おまけで観光してみよう。列車のダイヤもソレを考慮して組まれているようなのでo(*^^*)o




  で、早速やってきました龍泉洞             透明度は世界@!?                  お昼ご飯デス

 列車の中でもらった記念乗車券を入場券売り場で出すと団体割引料金810円で入る事が出来た(^_^)V洞窟の中は狭くでひんやりとしている。アップダウンがはげしく、お年寄りにはちょっときついコースだった。洞窟マニアにはたまらない場所かと思われた。コウモリが生息しているらしいが、今回遭遇する事は出来なかった。帰りのバスの時間もあるので、ちゃっちゃっと昼飯を済ませ駅へ戻るバスに乗り込む。ちなみにこのバスは町が手配したバスらしく、担当していた兄ちゃんは役場の職員であった。地元の観光資源として龍泉洞への力の入れようが伺える。バスを途中で降りて岩泉の街中をぶらついてから駅へ戻る。



   
退職間近の車掌さん                岩泉線鉄路終端部を望む               実用性&やる気のないダイヤ

 駅に戻ると周囲を見学。レールエンドまで行ってみたかったが時間の関係で残念ながらそれはかなわなかった。廃線対象ランキングトップにこの路線、鉄道ファンにとってそれもまた魅力である。とあるサイトにて、こんな本を見つけたが多分これはこの駅であると予想する。
岩泉駅発13:22、盛岡へむかって出発する。



このような風景が延々と続く              列車が通過した瞬間に・・・              茂市駅へ戻ってきた 

 朝から精力的に動いていたため、折り返しの岩泉線ではだんだんと疲れが出てきたが、この貴重な路線をしっかり記憶に焼き付ける為、車両後部から後方を眺めている。と、列車が通過した瞬間、藪からささっと人影が。三脚を持った鉄道ファンが、通過直後の列車を狙い線路上に三脚を据えてこちらを撮影している。この一瞬の為にいつから待機していたのだろう。いやはや、恐るべしマニア魂。って、人の事を言ってる場合ではないが・・・



再度山田線へ進入の為、ホーム入れ替え      区界駅では沢山の鉄道ファンがお出迎え      秘境駅、浅岸到着15:37

 岩泉線を往復し茂市駅へ戻る。ここで進行方向が逆になり山田線に進入。ここから区界駅までノンストップで向かう。途中、川内駅で快速リアスの交換待ちがあった。相変わらず、線路脇からはカメラを構えたファンが多数見受けられる。区界駅到着発15:28。ボーッと車窓からホームを眺めていると、窓の外をサッと何かが横切った。その時は何とも思わなかったが数秒後「んッ!?」リュックに刺さった「籠原」の文字。なぜこんな岩手の山奥で、高崎線、籠原の文字が・・・などと考えている間に秘境駅、浅岸に到着15:37。



  
プレハブの待合室            待合室の中にはこのような物が。滑り止め!? 浅岸駅より区界、茂市駅方面を望む。3‰上り

 秘境駅ランキング一桁だけあってなかなかの雰囲気。今回は企画列車での到達の為、沢山の人がいるのでイマイチだが、ここを定期の列車で訪れたならば、列車が行ってしまえば川のせせらぎしか聞こえない、素晴らしい雰囲気となるであろう。元はスイッチバックの駅だったが現在はその線路は撤去され林道になってしまっていた。(一番右側の写真)
 ちなみにこの駅と次に訪れる大志田両駅には「熊出没注意」の張り紙があった。さすが秘境駅であるo(*^^*)o
4分間の停車で楽しみ15:41発


                     
        
「サボ」と言うらしい。「サイドボード」の略だって                      裏返すと「上野←→前橋」だった    

  浅岸駅を出るとさっきの「籠原」が気になり車内を探す。すると、隣の車両にイカにもソレらしい、20代後半、ちょっと小太りでメガネをかけている男性のリュックに、丁寧に透明なビニール袋に包まれた「籠原」の文字を発見する。指定席のボックスシートに1人で座っている。あやしい感じのその人に声をかけてみる。「その籠原って書いてあるのは何ですか??」、「サボ」。と自信たっぷりに言い放つ。おもむろに袋から出して見せてくれる。おう、これは、昔、列車の側面に掲げてあった行き先表ではないか。何でこんな物を持ち歩いているのか不思議だったので聞いてみると、今日、大宮で鉄道のイベントがあったらしく、そこでサボを購入し、その足でこの「鉄道の日記念号」に乗りに来たらしい。なるほど、区界駅から乗車してきたのも納得がいく。すかさず、「写真撮らしてもらっていいですか?」、嬉しそうに「どうぞ」と言い、3000円と貼ってある値段表をご丁寧にもはがしてくれた。(笑)うーん鉄だ(。>0<。)



秘境駅ランキング8位                  浅岸駅と似た感じの構造               スイッチバック痕跡と保線倉庫

 そんな事をしているうちにまたしても秘境駅、大志田到着15:50。さっきの浅岸駅と見分けが付かないくらい似た雰囲気である。ただしこちらの駅はスイッチバックの痕跡がのこっており保線用と思われる倉庫がある。特別な物が有るわけではないのでそんなに楽しめる駅ではなかった。せめてSBだけでも残っていてくれれば、マニア心をくすぐられるのだが。15:54発にて盛岡へ向かう。盛岡駅構内にて、IGRいわて銀河鉄道の電車と併走すると、文明社会に戻ってきた感じがした。



 
盛岡駅でこの列車へ乗り換え               やってきた「はやて」                グリーン車だo(>▽<)o

 今回、岩泉線と共にもう一つの大きな楽しみ、人生初のファーストクラスへの乗車である。湘南新宿ラインら辺のグリーン車は幾度と無く乗っているが、今回は訳が違う。新幹線の最新型車両、でJR東のもっとも力の入れている列車のグリーン車である。中間車両にありながらも、もちろんフルアクティブサスペンション実装であーる(^_^)
 


 
 
ヘッドレストは手動で上下に移動できる      車内な暖色系でまとめられ落ち着いた雰囲気    そしてここの席へおさまる

 やってきた列車へ乗り込む。グリーン車だけは車両入り口で専門のアテンダントのおねーさんが待ちかまえており、お辞儀をして迎えてくれる。なにやらVIPな感じで気分良し。今度から普通車乗車の時でも、はったりで乗り込む時だけでもそこから乗ろうかな)^o^(ってなぐらい気分良い。発車まで、車内やデッキを見学し滅多に乗れない車両を味わう。



カップに、はやてマークが入ったグリーン専用のコップ、そしておしぼりのサービス              白い革靴、素足、グリーン車・・・

 定時16:54に盛岡を出発。いつもながらのVVVF音をかすかに響かせ盛岡駅から滑り出す。と、数分でMAX275km/hに到達。暮れゆく景色の中、ものすごいスピードで景色が流れてゆく。モーターが付いてないの差し引いてもとても静かな車内。揺れも明らかに少ない。ってか、ほとんどない。そして広いシート。隣の普通車は家族連れで賑やかなのに、この車両は少ない乗客、そして子供がいないのも相まってまったく静か。低いレール音だけが響いている。やがて、グリーン車のみの、おしぼり&ドリンクサービスが始まる。車販で買うと300円もするコーヒーが無料。おしぼりは使い捨てタイプだったが。その乗り心地を堪能しているとあっちゅー間に、盛岡を出てから初めての停車駅、仙台に停まる。と、ここで、後方から白い革靴を素足で履きこなし、あたかも持参してきたかのごとく備品であろう膝掛け(この時点ではこの膝掛けがどこにあるのか解らなかった)をビニール袋から取り出しリクライニング全開で寝に入る男が。こっちは、初の経験だからってウキウキしているのに、あたかも日常茶飯事のごとくグリーン車に乗るって。石田純一か!!
 などと思っていると、昨日、下りのはやて内で、ビールを買いまくった車販のねーちゃんが、また売り歩いて居るではないか!うーん、2日連チャンで会うってすごい確率だと思う。仮に彼女はちょびっとaiko似だったので愛子(と書いて、あやしと読むby仙山線)と呼ぶことにした。


    
  
嗚呼、東京駅まで一緒に行きたい           愛子発見!!

 などと下らない事をしていると大宮到着19:10。楽しい楽しいグリーン車は2時間しか味わえなかった。下車すると、「はやて」は、純一と愛子を乗せて東京方面へ去っていった。さて、大宮からは「あさま」。日曜下りのこの時間帯の「あさま」は混雑する事を知っていたので、さっさと18番線へ向かい19:30発「あさま545号」へ乗り込む。そうそう、今回の旅は前橋から乗車した「連れ」がいたのだ。「連れ」は特急で帰るっちゅーので大宮駅で別れた。「あさま」は高崎へ19:54着。吾妻線20:21発に乗り換え新前橋駅に着くと、「特急通過待ちのため6分ほど停車します」とアナウンスが流れる。いやな予感がする。ホームに出て「特急あかぎ」を待ちかまえていると、その「連れ」が降りて来るではないか!Ohデンコちゃん(。>0<。)高崎駅での吾妻線への乗り継ぎ時間が長かった為、新幹線でも特急でも同じ時間に新前橋駅に到着したのである。これなら高い新幹線料金でなくて、特急でも良かったではないか!!まだまだ甘いのである(--,)その「連れ」は驚いた顔をしていたが、「じゃーね」って階段を上がっていった。複雑な心境のまま、また車内へと戻り帰路に着く私であった・・・



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